- ・排卵期に精液から運動性の高い精子を回収し、子宮腔内に細いカテーテル(管)で直接注入する事により、妊娠率の上昇をはかる方法です。
人工授精(AIH)
人工授精(AIH)*
限りなく自然妊娠に近い方法です
診療費用について*
- ・以下の診療費用(再診保険3割負担:2023年10月1日現在)は、同一周期にすべての検査を実施した場合の一例で、実際の費用と異なるが場合があります。
- ・また、同一周期で、前回の来院時と全く同じ検査・治療を実施した場合でも、同一周期における検査の実施回数、各種加算・判断料などの相違により、当日の費用が前回来院時の費用と異なる場合がありますのでご承知おき下さい。
人工授精周期のスケジュール(月経周期28日型の場合)*
感染症採血
- ・ご本人、パートナーともに感染症の検査(B方肝炎、C型肝炎、HIV、梅毒、クラミジア)を必ず事前に実施させて頂きます。
- ・費用:¥11,000(自費)
- ・ご本人が当クリニックで生殖スクリーニング検査を実際されている場合は、検査はパートナーの方のみになります。
- ・来院困難な場合、アクセスの良い他施設の実施でも構いません。
月経周期1日~5日前後(月経中)
治療方針の決定
- ・原則、月経周期1~5日に来院して頂き、今周期の排卵誘発剤の使用の有無、使用薬剤の種類を決定します。
ホルモン検査(採血)
- ・LH(黄体形成ホルモン), FSH(卵胞刺激ホルモン),E2(卵胞ホルモン)検査実施。
超音波検査(内診)
- ・必要に応じて残存卵胞などのチェックをすることがあります。
排卵誘発剤(内服薬)処方の場合
- ・クロミッド:月経周期3~5日から1日1~2錠、5日間が原則。
- ・フェマーラ:月経周期3~5日から1日1~2錠、5日間が原則。
- ・セキソビッド:月経周期3~5日から1日4~6錠、7~10日間が原則。
排卵誘発剤(注射薬)筋注の場合
- ・フォリルモンP75:月経周期3~5日から計1~5回、反応により回数決定。
費用
①再診料+(LH・FSH・E2)検査 | ¥2,150 |
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②排卵誘発剤・内服の場合:①+処方費 | ¥2,360+薬局費用 |
③排卵誘発剤・注射の場合:①+注射費 | ¥2,630(フォリルモンP75使用) |
月経周期5~8日(月経中~月経終了)
- ・注射薬使用の場合に必要に応じて来院
- ・超音波検査で卵巣の反応をチェックし、追加投与の要否を決定します。
費用
①再診料+超音波検査 | ¥1,810 |
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②注射薬使用の場合:①+注射費 | ¥2,290(フォリルモンP75使用) |
月経周期9~12日(排卵前)
・超音波検査で卵胞径・子宮内膜厚測定、尿中LH検査、子宮頸管粘液検査、基礎体温などを参考に、人工授精の実施日を決定します。
超音波検査(内診)
- ・卵胞径・子宮内膜厚測定し、卵胞径14~16mm以上で卵胞径が2mm/日増大することから排卵日を予測します。
- ・卵胞径20mm前後・尿中LH検査(-)の時点で、HCG5000F(尿由来hCG:ヒト絨毛性ゴナドトロピン)注射、オビドレル(遺伝子組み換えhCG)自己注射、またはブセレリン(GnRHアゴニスト)点鼻薬を投与して、36時間前後に排卵を調節する場合もあります。
尿中LH検査(採尿)
- ・超音波検査で卵胞径が16~17mmになった時点で検査を開始します。
- ・来院できない場合は月経周期11日から、または、いつもの排卵日2~3日前から検査を開始します。
- ・尿中LH検査は、自宅で検査試薬を使用するか、来院して検査を実施する事も可能です。
人工授精実施日の決定
- ・尿中LH検査が初めて陽性になった翌日に、原則的に人工授精を実施します。
- ・自然周期で卵胞径が18~22mm、クロミッド周期は23~26mmで人工授精を実施します。
- ・排卵を調節する場合、超音波検査で卵胞径が20mm前後・尿中LH検査(-)時にHCG5000F注射、オビドレル自己注射またはブセレリン点鼻薬を使用し、36~44時間後に人工授精を実施します。
- ・自宅で人工授精の36時間前にオビドレル自己注射して頂くと、より精度の高いタイミングに人工授精が実施可能です。
- ・排卵誘発剤使用時などで、16mm以上の成熟卵胞が3~4個以上ある場合は、多胎防止のため、キャンセル周期となります。
費用
①再診料+超音波検査1回目+子宮頸管粘液検査 | ¥2,260 |
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②尿中LH検査実施の場合:①+尿中LH検査 | ¥2,480 |
③HCG5000F筋注実施の場合:①+尿中LH検査+注射費 | ¥3,080 |
④オビドレル自己注射実施の場合:①+尿中LH検査+薬剤費+(a)または(a+b) a.在宅自己注射指導管理料(月1回) b.導入初期加算(開始3か月間・月1回) 注射開始から3か月(暦月)まで:①+尿中LH検査+薬剤費+(a+b) |
¥7,040 |
注射開始から4か月(暦月)以降:①+尿中LH検査+薬剤費+(a) | ¥5,300 |
⑤ブセレリン点鼻薬使用の場合:①+尿中LH検査+※薬剤費(¥5,360:自費) ※ブセレリンは6周期以上使用可能。 |
¥7,870 |
人工授精当日のスケジュール
- ・排卵誘発剤使用時などで、16mm以上の成熟卵胞が3個以上ある場合は、キャンセル周期となります。
- ・自宅で採取した精液(禁欲期間は2~3日以内がベスト)を、専用容器に入れ保温し、採取後2時間以内(最大3時間以内がベスト)に持参して頂きます。院内での精子採取は実施しておりません。
- 精子をお預かりして人工授精終了まで、通常、最短でも約1時間30分以上かかります。ただし、精子の回収状況によっては追加操作が必要になる場合があり、その場合、2時間以上かかる場合があります。院内でお待ち頂くか、お出かけになっても結構です。
- ・遠心による精子DNA断片化増加の可能性を避けるため、移動沈降法(Migration-Gravity Sedimentation Method(MS法:ミグリス使用))により良好な運動精子の回収を実施します。
- ・精子無力症・乏精子症などで運動精子回収が極めて困難な場合は、密度勾配遠心分離法など他の方法により、運動精子を回収します。各種精子回収法による回収効率、妊娠率に大きな差は無いとされています。
- ・回収した運動性の高い精子を、細いカテーテル(管)で子宮腔内に入れる人工授精の操作自体は約1分程度で、その後5分程度内診台で安静して頂き終了です。
- ・当日の精液お預かり~精子注入までの各過程ダブルチェックを実施します。
人工授精実施直後の留意事項
- ・人工授精後、腟内から液体が漏れ出ることがありますが、そのほとんどが腟洗浄液のため問題ありません。たとえ精子調整液が流出しても頸管内に入った精子は、表面張力でそのほとんどが子宮内に留まります。
- ・人工受精終了後、当日のデータ説明を受けた後帰宅できます。帰宅後、安静などの必要はありません。運動、性交渉を含め、通常通りで問題ありません。
- ・感染予防のため抗生物質を2日間内服します。
副作用
- ・可能な限り無菌状態の運動精子だけを子宮腔内に入れますが、出血・腹痛・感染などが極めて稀におこる可能性があります。これらの副作用は、治療を要する場合は極めて稀です。
- ・副作用の出現を事前に予想する事は現代の医療水準では不可能です。
- ・自然妊娠同様、異所性妊娠が起こる可能性があります。
費用
- ・可能な限り無菌状態の運動精子だけを子宮腔内に入れますが、出血・腹痛・感染などが極めて稀におこる可能性があります。これらの副作用は、治療を要する場合は極めて稀です。
- ・副作用の出現を事前に予想する事は現代の医療水準では不可能です。
- ・自然妊娠同様、異所性妊娠が起こる可能性があります。
費用
①自然周期の人工授精:再診料+人工授精 +超音波検査2回目(自費) |
¥5,680 ¥3,300 |
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②排卵誘発剤またhCG使用周期の人工授精:再診料+人工授精 +超音波検査2回目(保険) |
¥5,680 ¥1,430 |
月経周期15~17日前後(排卵後)
超音波検査(内診)
- ・超音波検査で排卵のチェック、子宮内膜厚の測定を実施します。未排卵の場合、hCG注射を実施します。
- ・黄体機能不全、FSH注射実施周期、排卵にブセレリン点鼻薬を使用した方は、黄体ホルモンの補充を実施します(デュファストン/ルトラール内服)。
費用
①自然周期またはhCG使用周期の人工授精後:再診料 +超音波検査3回目(自費) |
¥220 ¥3,300 |
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②排卵誘発剤使用周期の人工授精後:再診料 +超音波検査3回目(保険) |
¥220 ¥1,430 |
月経周期20~22日前後(黄体期中期)
黄体機能検査(採血)
- ・プロゲステロン(黄体ホルモン)の採血検査を実施します。
費用
①再診料+プロゲステロン検査 | ¥930 |
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②黄体ホルモン剤処方の場合:①+処方費 | ¥1,790+薬局費用 |
人工授精1周期あたりの通院回数*
通院回数
・自然周期・内服薬使用時は3~5回、注射薬使用時は3~6回。
- ①月経周期1~5日前後:ホルモン検査、今周期の治療方針の決定。
- ②月経周期5~8日前後:超音波検査で卵胞径測定。※注射薬使用の場合。
- ③月経周期9~12日前後:超音波検査で卵胞径測定し、排卵日の予測。
- ④月経周期14日前後:人工授精実施。
- ⑤月経周期15~17日前後:超音波検査で排卵確認、子宮内膜厚を測定。
- ⑥月経周期20~22日前後:黄体ホルモン検査で黄体機能の評価。
・通院回数は、個々の皆様の通院可能状況などで異なります。
移動沈降法(Migration-Gravity Sedimentation Method:MS法)による運動性の高い精子回収による人工授精*
移動沈降法による運動性の高い精子の回収(ミグリス使用)
- ・運動精子の回収方法として、密度勾配遠心法など遠心分離を利用する方法がありますが、遠心分離によって精子DNA断片化増加の可能性があります。
- ・一方、遠心操作が無く、運動性の高い精子のみを回収する方法として、従来からMS法がありましたが、回収濃度や回収量が少ないなどの問題点がありました。こうしたMS法の課題を解決した簡便で高い回収効率が得られ、かつ精子にやさしい進化した回収装置「ミグリス」を利用して運動精子を回収します。
ミグリス(移動沈降法)による精子回収の実際
- ①内管の外側(精子注入部:青い部分)に精液を注入します。
- ②内管内に回収液をあふれさせ精子を覆う程度まで注入します。
- ③20°C~37°Cで60分静置します。
- ④運動性の高い精子のみが内管の隔壁を乗り越え、内管の底部に集まります。
- ⑤内観の底部に集まった運動性の高い精子(0.1~0.4mL)を回収します。
・回収した運動性の高い精子(0.1~0.4mL)を子宮腔内に注入します。