タイミング法

タイミング法*

  • ・排卵日を予測し、最も妊娠しやすい時期である、排卵日2日前~1日前に性交渉を持つようにするのがタイミング法です。
  • 排卵日2日前~排卵日まで、性交渉を3回以上持つ事が可能であれば理想的ですが、個々のご事情に合わせ、可能な範囲でトライして下さい。
  • ・各周期の排卵日は前後する事もあるので、排卵日5日前から排卵日まで性交渉が複数回トライ可能であれば理想的です。
  • ・性交時の体位、その後の安静は妊娠率に無関係で、例外を除き毎日性交渉をしても、精液所見はあまり変化しないとされています。
  • ・喫煙、過度のアルコール、カフェイン摂取、肥満、痩せ、運動不足、睡眠不足などで妊娠率が低下するので、日常生活で改善する事を心掛けて下さい。

診療費用について*

  • ・以下の診療費用(再診保険3割負担:2023年10月1日現在)は、同一周期にすべての検査を実施した場合の一例で、実際の費用とは異なる場合があります。
  • ・また、同一周期で、前回の来院時と全く同じ検査・治療を実施した場合でも、同一周期における検査の実施回数、各種加算・判断料などの相違により、当日の費用が前回来院時の費用と異なる場合がありますのでご承知おき下さい。

排卵日の予測*

  • ・排卵日の予測は、経腟超音波検査(以下、超音波検査)による卵胞径測定、尿中LH(黄体形成ホルモン)検査を中心に、子宮頸管粘液検査、基礎体温などを組み合わせて総合的に判断します。
超音波検査(卵胞径測定)
  • ・卵胞径が自然周期で18~22mm前後で排卵直前となるため、超音波検査で卵胞径を測定し、排卵日を予測します。
尿中LH検査(LHサージの測定)
  • ・排卵を誘発するLHが排卵前に脳下垂体から分泌され、急激にピークに達するため、この急激なホルモン上昇をLHサージと呼びます。
  • ・LHサージから24~36時間前後に排卵が起こるため、LHサージから排卵日を予測することができます
  • ・通常、超音波検査で卵胞径が16~17mmになった時点で検査を開始します。
  • ・卵胞径のチェックに来院出来ない場合は月経周期11日から、または通常の排卵日2~3日前から検査を開始します。
  • ・LHサージのピークの持続時間は12時間前後なので、1日2回検査可能ならベストですが、それでもLHサージが検出不能の場合もあります。
  • ・尿中LH検査は、自宅で検査試薬を使用するか、来院して検査を実施する事も可能です。
子宮頸管粘液検査
  • ・排卵日が近づくと、子宮頸管粘液は粘性が下がり、透明化、量も増加するため、これらを診察して排卵日を予測します。
基礎体温
  • ・基礎体温は卵巣でのプロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌を反映します。排卵すると卵巣に黄体ができ、プロゲステロンが分泌されます。その結果、体温が0.3~0.5度上昇し、基礎体温が低温期と高温期の2相性を示します。
  • ・基礎体温と排卵日の関係は、基礎体温が上昇する2~3日前、低温期の最終日、基礎体温が上昇してから排卵、の3つのタイプがあり、基礎体温測定のみで排卵日を正確に特定するのは不可能です。
  • ・基礎体温測定で正確に排卵日を特定するのは困難なので、測定が非常にストレスになる場合は、他の方法で排卵日を予想することも可能ですので、測定に関し無理なさらない様にして下さい。

タイミング法の妊娠率*

  • ・正常妊孕性女性の妊娠率は6か月で約65%、12か月で70%前後です。
  • ・不妊症女性の妊娠率は約10~20%で、その内の70%が6周期以内の妊娠です。
  • ・原因不明不妊の方の妊娠率は5%未満と低率です。

Step upの時期*

  • ・タイミング法は原則3~6周期実施します。妊娠に至らない場合、排卵誘発剤、人工授精を含めた治療方針を考慮します。
  • ・35歳以上の方は1~3周期実施して妊娠に至らない場合は人工授精へのstep up、状況により最初から人工授精を実施する場合もあります。
  • ・40歳以上では最初から体外受精・顕微授精などの生殖補助医療も選択肢の一つになります。
  • ・原因不明不妊の場合は、人工授精、生殖補助医療への step upを考慮します。
  • ・タイミング法は、必ず3~6か月実施する必要はありませんし、6か月で必ずstep upする訳でもありません。
  • ・個々の年齢、不妊原因、ご希望などを考慮し、実施期間は柔軟に対応します。

タイミング法のスケジュール(月経周期28日型の場合)*

月経周期1~5日前後(月経中)

治療方針の決定

・原則、月経周期3~5日までに来院して頂き、今周期の治療を決定します。

ホルモン検査(採血)

・LH(黄体形成ホルモン), FSH(卵胞刺激ホルモン),E2(卵胞ホルモン)測定を実施。

費用
再診料+(LH・FSH・E2)検査 ¥2,150

月経周期9~12日前後(排卵前)

超音波検査(内診)

・卵胞径・子宮内膜厚測定し、卵胞径16~17mm以上で性交渉を開始します。

尿中LH検査(採尿)
  • ・超音波検査で卵胞径が15~16mmになった時点で開始します。
  • ・来院できない場合は月経周期11日から、または、通常の排卵日2~3日前から検査を開始します。
  • ・尿中LH検査が陽性になった場合、その日に性交渉することが重要です。
  • ・可能であれば、タイミング法開始から排卵日まで1~2日おきに性交渉を行う事ができれば、妊娠率は上昇します。可能な範囲でトライして下さい。
  • ・尿中LH検査は、自宅で検査試薬を使用するか、来院して検査を実施する事も可能です。
  • 費用
    ①再診料+超音波検査1回目+子宮頸管粘液検査 ¥2,260
    ②尿中LH検査を実施した場合:①+尿中LH検査 ¥2,480

月経周期15~17日前後(排卵後)

超音波検査(内診)

・超音波検査で排卵のチェック・子宮内膜厚の測定を実施します。

フーナーテスト(性交後試験)(内診)

・子宮頸管内への精子の上昇のチェックを必要に応じて実施します。

費用
①再診料 ¥220
②フーナーテストを実施した場合:①+フーナーテスト ¥660
③超音波検査2回目:自費 ¥3,300

月経周期20~22日前後(黄体期中期)

黄体機能検査(採血)

・プロゲステロン(黄体ホルモン)の採血検査を実施します。

費用
①再診料+プロゲステロン検査 ¥930
②黄体ホルモン剤処方の場合:①+処方費 ¥1,570+薬局費用

タイミング法1周期あたりの通院回数*

  • ・1周期あたり通院回数は3〜4回前後です。

①月経周期1~5日前後:ホルモン検査、今周期の治療方針の説明。
②月経周期9~12日前後:超音波検査で卵胞径測定し、排卵日の予測。
③月経周期15~17日前後:超音波検査で排卵確認、子宮内膜厚を測定。
④月経周期20~22日前後:黄体ホルモン検査で黄体機能の評価。

  • ・個々のご事情で、可能な範囲で通院して下さい。